映画 アイヒマン・ショー
今朝は、今、上映中の映画『アイヒマン・ショー』について書きます。ナチ政権がユダヤの方々に強いた残虐行為に触れることになります。嫌だなぁと感じたら読み飛ばしてください。
毎日毎日、掘った穴に死体を埋める。
死体は次々と運ばれてくる。
ある日、死体の中に知り合いを見つける。
ある日、死体の中に妻と子供を見つける。
もしこんな事が自分の身に降りかかったら、あなたはどうしますか?
想像すらしたくない。でも、ユダヤの方々の絶滅(:隔離し抹殺する)を目指した強制収容所ではそれが現実でした。
その現実を世に問うために、元ナチ親衛隊中佐アドルフ.アイヒマンの裁判がイスラエルで開廷されました。その裁判を、この映画は取り上げます。
あまりに残酷な現実は、怖くて悲しいので誰もが避けようとします。メディアも同じです。テレビをはじめ多くの報道機関は残酷の脇を通り抜けようとします。だからこそ、誰かが伝えなければならない。この映画はそう叫んでいます。アイヒマンの裁判を「報じる」のではなく「伝える」ことの意義。そこを分かって欲しいから、アイヒマンの裁判を『アイヒマン・ショーShow』と読み換えた! そう訴えています。
作中に見え隠れする自戒的指摘(この裁判の詳細・正当性)については、ハンナ・アーレントが書いた『イェルサレムのアイヒマン』(みすず書房)に多くの示唆があります。怒りや悲しみがわが身を通り抜けた後、問題の構図に触れたいとき、彼女の本が参考になると思います。
- 作者: ハンナ・アーレント,大久保和郎
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1969/02/20
- メディア: 単行本
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映画館だからこそ観ることのできる、良質のドキュメンタリーだと思います。